小さい，はひどく口な少年だった。は心配して，を知り合いの精神科医の家にれていた。(中略)

　　たちは2人きりで向かい合っていた。正面の壁からはモツアルトの肖像画が臆病な猫みたいにうらめしに

　　をにらんでいた。「昔ね、あるところにとても人も良い山羊がいたんだ。」①素な出だしだった。は目をじて人

　　の良い山羊を想像してみた。「山羊はいつも重い金を首から下げて、ふうふういいながらき回ってたんだ。と

　　ころがそのは、②やたらに重いうえにれてかなかった。そこに友の兔がやってきてこう言った。ねえ山

　　羊さん、なぜ君はきもしないをいつもぶらさげてるの?重そうだし、役にもたたないじゃないかってさ。そりゃ

　　重いさって山羊が言った。でもね、れちゃったんだ。が重いのにも、かないのにもね。」医者はそう言うと

　　自分のオレンジ･ジュスをみ、ニコニコしながらをた。はってのきを待った。「ある日、山羊さんの

　　生日に兔はきれいなりボンのかかった小さな箱をプレゼントした。それはキラキラいて、とてもく、しかも正

　　にく新しいだったんだね。山羊さんはとっても喜んでそれを首にかけ、みんなにせて回ったのさ。」そこで

　　は突然にわった。「君が山羊、が兔、③は君の心さ。」は④だまされたような分のまま、仕方なくう

　　なずいた。

　　(中略)次にたちのやったことはフリ･トキングだった。「猫について何でもいいからしゃべってごらん。」は

　　考える振りをして首をグルグルと回した。「思いつくことなら何だっていいさ。」「四つ足の物です。」「象だってそう

　　だよ。」「ずっと小さい。」「それから?」「a」「b」「。」「c」「d」そんな具合だ。

　　医者の言ったことは正しい。文明とはである。すべきことがなくなったとき、文明はわる。バチン・・・

　　OFF。

　　十四になった春、信じられないことだが、まるで(⑤)ようには突然しゃべりはじめた。何をしゃべったのかま

　　るでえてはいないが、十四年のブランクを埋め合わせるかのようには三ヶ月かけてしゃべりまくり、七月の

　　半ばにしゃべりえると四十度のを出して三日学校を休んだ。が引いた後、は局のところ口でも

　　(⑥)でもない平凡な少年になっていた。

　　注1モツァルト：18世後半のオストリアの音家。

　　注2フリトキング：や形式をきめないで自由にし合うこと。

　　注3ブランク：ある期・所において何もいこと。空白。

　　1①「素な出だしだった」とはどういうことか。

　　1医者がにモツアルトの美しい曲をかせ出したこと。

　　2医者ととの初めての会がうまく流れ出したこと。

　　3医者のの始めの部分にがとても味をひかれたこと。

　　4医者にしてがきわめてしい第一印象を抱いたこと。

　　2②「やたらに」と同じような意味をもつ言はどれか。

　　1むだに　　2いたく　　3とんと　　4さして

　　3③は君の心さ」とあるが、ここではどういうことの比か。

　　1自分一人でんでいないで、ひとに相してみるのが良いということ。

　　2仲の良い友さえあれば、いつでも助けてくれるということ。

　　3不都合なことにれてしまうと、より良いことにづかなくなってしまうということ。

　　4自分のしっかりした考えがないと、すぐにひとの言に左右されてしまうということ。

　　4④「だまされたような分」とあるが、ここではどのような持ちか。

　　1があまり急にわったので、あっけにとられている持ち。

　　2の内容があまりにしかったので、当惑している持ち。

　　3のがあまりに平凡で退屈だったので、がっかりしている持ち。

　　4のがあまりに期待していたものとかけれていたので、切られた持ち。

　　5「a」「b」「c」「d」に入る言のみ合わせとして、正しいものはどれか。

　　1　a「家庭でわれていて、きが向くとねずみをす。」

　　b「何を食べる?」

　　c「ソセジは?」

　　d「ソセジも。」

　　2　a「何を食べる?」

　　b「家庭でわれていて、きが向くとねずみをす。」

　　c「ソセジは?」

　　d「ソセジも。」

　　3　a「何を食べる?」

　　b「ソセジは?」

　　c「家庭でわれていて、きが向くとねずみをす。」

　　d「ソセジも。」

　　4　a「家庭でわれていて、きが向くとねずみをす。」

　　b「ソセジは?」

　　c「何を食べる?」

　　d「ソセジも。」

　　6(⑤)に入る最も当なものはどれか。

　　1せきらら　　2せきをきる　　3せきこむ　　4せきのやま

　　7(⑥)に入る最も当な言はどれか。

　　1おはなし　　2おすまし　　3おしゃべり　　4おしゃれ

　　(2)ネズミの仲のレミングは、集で行し、川や湖にびんで死ぬことがある。

　　それは、レミングが常にえて、そのままだとしかねない。そこで、を存させるために、一部を残して

　　新天地を求め、たまたま川や湖にぶつかって、「集自」するのだ——ふつう、こう思われている。

　　しかし、レミングの戚であるエゾやチネズミでそうではないことを立した人がいる。(中略)

　　エゾやチネズミは繁殖期になると、雌がりをもち、雄はりをもたない。そして、雌が情すると、何匹か

　　の雄が接近し、争する。

　　争にけた者は、当然他の所へ移するケスが多いが、その合、川があろうとかまわず泳いで、新し

　　い所へ行ったほうが、少なしは自分も繁殖に参加できる可能性が出てくると言うもの。

　　だから、レミングが川や湖にびむ「集自」は、(①)

　　1(①)に入る最も当なものはどれか。

　　1常にえてしかねないから、一部を残してを存させるためなのだ。

　　2雄がりをもたないようにして、雌のりを守るためなのだ。

　　3の存のためではなく、自分自身が有利になるためなのだ。

　　4雄が雌に自らのさをせようと争するためなのだ

　　正解

　　1-3　　2-2　　3-3　　4-4　　5-1　　6-2　　7-3。

　　正解

　　1-3